わたしは、広島出身です。 幼少期から原爆の話を聞き、ビデオを見て、原爆ドームへ行き、ディベートをし、大きくなりました。そのおかげか(そのせいか)核兵器について所持すら反対なことはもちろん、戦争も反対、何なら原発も反対派です。
話題になっているということで、HBOのチェルノブイリを見ることを勧められて、憂鬱な気分になるんじゃないか、辛くて見てられないんじゃないか、と乗り気ではなかったのですが、目を背けていてもしょうがないということで、意を決して見てみました。
全部で5話です。
やっぱり、見ていられなくて苦しい部分がたくさんあったのですが、それでも、見てよかったです。エミー賞10部門受賞も納得。 監督は『ウォーキング・デッド』『ブレイキング・バッド』を手掛けたヨハン・レンク、製作は数々の人気作品を生み出しているHBOです。さすがですね。
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わたしは、ドラマや映画、映像、演技のことなど完全な素人なので、以下、ただのいちワーママの感想としてお読みください。
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映像の綺麗さ、各シーンの静けさや空気感の臨場感、人間味溢れる登場人物はさることながら、原子力発電所の事故がなぜ起きたのかという、素人には難しい内容が、分かりやすく盛り込まれています。 わたしでも、原子力発電の仕組み、事故の原因が少しわかりました。 ストーリー展開も全5話、一気に見てしまうほど見事に構成されています。 最初から話に引き込まれ、あっという間の5話でした。
ただ、この話は、過去のものではなく「今」まさに続いているということがあまりに重たく、わたしを打ちのめしました。 今尚、チェルノブイリ原子力発電所は、放射能を撒き散らす廃炉として、そこに在るままということ。原子炉を封じ込める構造物で向こう100年は放射能を遮っていること。 この事実は、もっとたくさんの人が知っておくべきことかもしれません。 自分が死んだ後も、そのもっともっと先まで、なくならない果てしないモノを人が作り出してしまったんです。 子どもがいる今、赤ちゃんが出てくるだけでもその先を想像してしまって泣きそうでした。 原発の是非は東日本大震災でも問題になりましたが、このチェルノブイリの事故だけでももう答えは出ているような気がします。
(そもそも使用電気量をもっともっと減らすことはできないのでしょうか。原発がないとやっていけないほど電気を使わなければいいのでは。火力発電にも問題があるし…。でもきっとそれが無理だから今の状態なんですよね。普通に電気を使っている恵まれた環境のわたしが言うのもどうかと思いますが…。自分の立ち振る舞いもこれからもっと考えたいです。)
原子力や放射能というモノ自体のことも、どうしていくのかを考えないといけませんが、それにプラスして、約35年前も今の世の中も何ら変わりのない、国(もしくはそのような権力のある組織)の情報操作や隠蔽に対し、個人は、自らの命や子ども、家族の命、仕事や名誉や出世を失うことなどにつけ入れられると無力だ、ということが、悔しくやるせない。 社会情勢が、組織が、惨劇を産む。 このドラマでは、科学者の勇気や不屈の精神で、真実が明らかになりましたが、隠蔽されてしまったことや嘘がホントになってしまっていることは、現代でもそこらへんにあるのだろうと思ったりしました。 日本という国の行く末を考えるきっかけにもなりそうです。
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たくさんの映像コンテンツがありますが、製作者さんたちの伝えたい思いが込められた作品って強いですね。
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