先日、あるドキュメンタリーをみた。
これが、すごくて。色々衝撃で。見ながら不安で心配でいっぱいになる内容。 どこまで本当なのか。全部?だとしたら、この後の生活は大丈夫なのか。
簡単に説明すると、デンマーク人で元料理人のウルリクが、スペインに本拠地をもつ北朝鮮との文化交流団体KFAにスパイとして潜入。そこから、武器取引ビジネスへと繋がっていき、その取引や手段の内容が暴かれていくというお話。
北朝鮮やKFAという組織についてなど色々と物議を醸しているのだろうが、私が気になったことは、二つ。
一つは、ウルリクについて。
仮にこのドキュメンタリーが全て本当だったとして、10年もスパイ活動をしていたら、思考は変化しないのか。ずっと偽り続けていたら、偽っていた方が本当のような気持ちにならないのか。つまり、彼は大丈夫なのか。健康なのか。自分というものが分からなくなっていないか。北朝鮮の闇を暴きたいという強い意志があれば、できることなのか。彼が特別なのか。
私がいつも思っていることだけど、人は環境によって結構大きく左右される。 社会や政治を変えたいと思って政治家になっても、何年もその環境に身を置くと、その環境下でのやり方をせざる終えなくなり、そうしているうちに麻痺して普通の感覚を忘れてしまう。 所属する会社や家庭のルールや考え方にはどうしても寄っていくし、周りの人々の意見にも影響を受ける。 耳から聞いた言葉、自分で発した言葉は、ウソであっても言えば言うほどホントに近くなっていく。
北朝鮮の素晴らしさを語ったり、肩を持つ発言をし続けて、そのような思考にならなかったのか。(北朝鮮が素晴らしいか、良くないかははひとまず置いておいて…素晴らしいところもあるはずだし…)
思い出したのが、アメリカン・スナイパーを観たときに知った、軍人たちの戦争後遺症とも言える精神崩壊の現実。
完全に余談ですが、この映画の主演ブラッドリー・クーパーがカッコ良くて…!私は俳優さんに疎いんですが、彼のことは結構好きだったりします。でも、彼の出演作を見るたびに「この人素敵なんだけど、なんて言う名前?」と夫に聞き、「え、ブラッドリー・クーパーじゃん。本気で言ってる?」と言われるほど顔と名前がなかなか覚えられない。ホントに好きなのかって言われる。役者さんて役柄で全然違うように見えて、余計覚えれなかったりしませんか。私だけですか。
戦後の軍人に対するメンタルケアが結構大変みたいで、そりゃそうだと思ったし、そこまでして戦わないといけないってなんなんだ、勝っても負けてるじゃないか、と憤りを感じ心がキュッとなる映画だったけれど、人間の歴史は戦争の歴史だし、争い事がないならないで面白くないのかな、人間らしくないのかな、なんて思ったりして、いつものようにぼんやりと、それでも、私は戦争は反対だし、人が人を殺めることを受け入れることはできないなと、それ以上考えることをやめた数年前。
今回このドキュメンタリーを見て、軍人についてのメンタルケアもだけど、スパイについてもメンタルケアがいるのだなと。家族にカミングアウトした時、彼の妻は驚いてショックを受けていた。家族の方のメンタルケアもいる。彼を受け入れ一緒に生活する周りの人の心境はいかに。(ご近所さんにスパイ活動をしていた人がいたら、不安に思う人もいるはず)
これから、彼がどう生きるのか。私が知ることはないかもしれないけれど、どうか幸せであって欲しい。
気になったこと、二つ目について。
それは、北朝鮮側の闇ビジネスを介する人たちのこと。
結局、彼らが欲しいのはお金っぽいことに、お金って何なんだと、またしても思う。お金があったら確かに、食べるものには困らないかもしれないし、人をある程度は思いのまま操れるかもしれない。自分がしたいこともできるかも?(お金があればできるってもんでもないでしょうよ)
彼らのしたいことって何? お金を増やすこと? 言いなりになる人を増やすこと? 家族と安全に暮らすこと? 武器を輸出して、たくさんの人が死ぬことがお望み? 人が苦しむのを見ることが好きなの? 自分の権力を見せつけたいとか? 世の中のためになること、人を助けることに、興味は向かない?
もうこんな考えが凡人で、全然違う次元の考えなのか…
でも、多分、こういう闇ビジネスと光にはそんなに大きな差はなくて、たまたま闇の方に流れてしまった人もいると思う。ただ自分ができることをしていたら、そうなっていたとか。そして、抜け出せない。
ちょっとグレて(今グレるっていう言葉使わないかな?)、暴走族になって、法を犯すことに手を染めはじめて、という分かりやすい流れじゃなくても、これ以上は良くないなっていうラインを超えてしまうことはきっとある。
それこそ、食べるにも困るほどお金が無かったり、愛情を与えてもらえなかったり、信じられないほど抑圧されていたら。
単純に北朝鮮の闇ビジネスをしている人を責めて解決するものでもなくて、やっぱり仕組みから根本から変えないといけないだろうなと。
ちょっと話はずれるのかもしれないけれど、近頃のビットコインの急騰も、光と闇がある気がしている。以前サイバー攻撃で仮想通貨が盗まれたりしてニュースにもなった。ビットコインは普通に貨幣として使える状態にまだなっていないけれど、闇ビジネスや大きな犯罪組織の中で、仮想通貨は利用しやすいという報道もある。これからどう仕組みが整理されて、どう利用されていくのか。 ビットコインの値段が上がって、やったー儲けた!と喜ぶのは簡単だけど、その裏でよくない動きが加速している可能性も考えたい。(私はビットコイン持っていないので、儲けたと喜ぶこともないけれど)
闇のことを考えすぎると、それこそ深みにハマるので、程々にと思っているけれど、見て見ぬふりをしたり、忘れてしまうのは違うよなと、自分に言い聞かせる。
…
それにしても、本当にアフリカの方で武器をこっそり作ったりしているのか。アフリカという日本からは遠い地のことを、ちょっぴり憧れを持って眺めているだけの私だけど、海外に行けるようになったら、アフリカという土地に、足を踏み入れてみようと決心した。(闇に触れたいのではなく、そこの土地での生活や人に興味があるから)(遠い土地や行ったことのない土地のことは、他人事に思ってしまうから)
いろんなコンテンツが溢れていて、簡単なもの楽なものばかり選びそうになるけれど、ちょっと苦しいものや難しいものを選ぶと、学びが大きい気がしている。
面白い、ドキュメンタリーだった。
…
先日誘惑に負けて食べたミルフィーユ。お気に入りのカフェなので、応援するという言い訳をしながら。。。
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