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喧騒と、静寂。

執筆者の写真: officialofficial

 夕食後に、食べ終わるとすぐに片付けをはじめた。食器を流しへ下げ、ゆっくりと洗い、拭いて片付ける。ときどき、食洗機を使うこともあるけれど、それは洗い物が多いときと、油汚れが気になるときと、高温で消毒したい瓶があるときと決まっている。

 家族全員が食べ終わっていなくても、立ち上がって洗い物を始めてしまうこの習慣を、改めたい気もする。本当はゆっくり食べたいし、食べた後も楽しくお喋りをしたりお茶を飲んだりしたいはずなのに、体が勝手に動く。子どもを早く寝かせるためのルーティンを頭に浮かべながら、洗い物をする。

 一番食べるのが遅い長女が食べる姿を見ながら、カウンターキッチンにしてよかったなと思う。箸が止まっている。遊び出す。「もういらないの?ごちそうさま?」と声をかけるも、無視される。いつものことなので、何も思わない。「ハイハイ、もういらないのね」と下げると、「まだ食べるってば!」と怒りの声。「だって返事せんからさー」ともう一度ご飯を出す。

 「チントンして」とスカートを引っ張る小さい人が、来た。チントンとは、座ることを意味するらしい。保育園で先生が使う言葉のようだが、こっちは子ども用の言葉を知らないので、最初は何を言っているのか分からなかった。

 小さい彼が持つのは、絵本。それも、2冊。座って読めとアピールしている。「いま私、片付けしてるんだよね〜」「お風呂いこっか〜」とごまかそうとするが、スカートの裾を離さない。怒って泣きそうな気配に負け、チントンする。

 2冊読み終わったと思ったら、次の絵本を持ってくる。エンドレス。その間も「おかーさん」と声がする。何かと思うと、長男が謎の質問をしてくる。「おかーさん、あのさー、方位磁石を直したいんだけどどうしたらいい?」「知らん」「調べて」「明日先生に聞いてみたら」「今調べて」「なんか磁石で擦ったらいいって聞いたことあるけど違うかもしれん」「やってみる」「いや、闇雲にやってもむりだってば」「じゃあどうしたらいいん」「知らんよ」

 その横からまた声がする。「見てー」「何?」描いた絵を見せられる。「これなんでしょう」「女の子?」「違う、誰かって聞いてるの!」怒られる。「お姫様?」「せいかーい」適当に言ったら正解した。

 「おーい、みんな、お風呂入るよ〜」今日一番の声量で声をかけ、文句を言ったり嫌がられたりしながらお風呂へ入れる。これも、今だけなんだろうなと思いながら。お風呂に入ったら入ったで、今度はなかなか出ない。こちらはササッと出て寝具の準備。

 着替えさせ、髪を乾かし、歯磨きをして、ようやく眠りにつく。その前に、また絵本タイムが始まる。ここでも、小さい人は2冊読みたがる。長男は自分で読めるけれど、読んでいると気になるらしく、一緒に聞いている。一時期は創作の物語を強要され、考えるのにおおごとだったので、絵本を読むぐらいであればまだマシだなと思う。

 電気を消すと、真っ暗になり、急に静かになった。みんなで「おやすみ」を言い合って、眠りにつく。長男も長女も次男も同じ部屋で寝ている。同じ時間に、眠る。

 こうして、静寂がやってくる。

 今日も一日が、過ぎてゆく。

・・・・

ど定番の、「からすのパンやさん」。

くろもじ に反応するのは私だけ。

長女(5歳)の絵。小学校から長男が持って帰るプリント(裏紙)がどんどん消費される。

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