この本を読み、何度も涙が出た。犯罪を犯す人には、背景があるらしい。見て見ぬ振りをしている闇の世界がきっとあるに違いない。想像しては心が痛み、言葉を聞いては涙が出る。
拙いながらも言葉を扱う仕事をしているわたしは、改めて言葉の力、伝えることについて考えることになった。
どう表現したらいいのかわからない想いも、まだ名称のないものも、言葉にするだけで整理される、認識される。
なにより、人の心、自分の心がわからなかった、表現の仕方がわからなかった少年たちが、詩を書いて、その自分の詩を他人に受け入れてもらうことよって心の闇が解き放たれるというのは、ありきたりだけれど、ジーンとするお話で、私もそのような社会に対して働きかける何かを実行したいと、ふつふつ想いが湧いてきた。
来年の目標の一つとして、心に刻む。
それにしても、奈良少年刑務所の近代建築としての価値はものすごく大きくて、建築が好きというだけのわたしであっても、ぜひ一度は中に入ってみたいと思わせるレベル。
ホームページにあるが、奈良監獄を設計した建築家の山下啓次郎の孫が、何年もかけて祖父の足取りを調査し、一冊の本にまとめた『ドバラダ門』というのがあるらしく、こちらも読んでみたい。
ザザッと簡単に調べた感じだと、しばらく見学はできそうにないが、もし見学可能になったら、抽選、有料でも絶対申し込んで、この目に、体に、その空間を焼き付けたいと思っている。
※社会涵養プログラムで詩を扱ったというのがとっても面白いのだが、私は最初、涵養の意味がわからなかった…
ググって知る。
かん‐よう【涵養】 [名](スル)水が自然に染み込むように、無理をしないでゆっくりと養い育てること。「読書力を涵養する」
Comments