本が好きと公言しているのに、答えられないこの質問。
あんまり簡単な本だと、ほんとにそれなの?あんまり本読んできてないんじゃない?と思われるのもなんだか癪だし、非常に高尚な本は読んでいない、もしくは珍しくページをめくったものがあったとしても理解できずに心身に響ききっていないからか、いまいち記憶に残っていない。
ティーンの時に、ガツンと頭をやられた本があればまた違うのだろうけれど、私はガツンと何にも脳みそを揺らぶられなかった。代わりにエミネムをきいて自分で頭を揺らしていた。
ちょっとした固定概念を崩された本は、ティーンの時に読んだ山田詠美『ラビット病』。こんな能天気っぽい小説が受け入れられて評価されるのか、という衝撃である。何度も読み返した結果もやっぱり不思議なままだったので、他の山田詠美の本を全て読んでいった。でも、一番好きな本かと言われると違う。一番じゃないとしてもなんか違う。私の大切な部分を占めるのは間違いないけれど、それは好きというニュアンスではない。
今、好きな本として答えるなら、原田マハ『本日は、お日柄もよく』を挙げる。コピーライターとして、言葉の力を信じてもいるし、悪用してもならないと思わされる。私は悪用するほど上手に扱えていないのだけれど。
しかし、これは今だから好きなのだが、ティーンの時から今、そして死ぬまで好きな本ではなかろう。もう遅いのか知らないが、そんな好きな本を探している。ローティーンの時は下村湖人の『次郎物語』が大好きだったので候補なのだが、いまの私が読んでどう思うのだろうか。いつ、私は再度手に取り、読み始めるのだろうか。もう一つ、私はファンタジー児童小説の類がすごく好きだったので、『ゲド戦記』も全巻読み、なんという素晴らしい本だと感銘を受けた。そしてタイトルも作者も何もかも思い出せないけれどハマったファンタジー海外小説もある。これに至っては何もかも思い出せない。すごくおもしろかったという記憶しか残っていない。もう廃盤になっている本かもしれないし、見かけても認識できるかも怪しい。二度とお目にかかることはない確率99%。高校の図書館にまだある奇跡が1%。確認しに行きたい……。
子供の頃の読書習慣は、こうやって後々まで楽しめるものになる。
本を読んでいる方が偉いだなんて思っちゃいない。音楽にハマる人、テレビ番組にハマる人、スポーツにハマる人、勉強にハマる人、それらと同等に本にハマった、ただそれだけ。幼少期からティーンの間に、何かにズッポリハマるというのは、その後の長い人生においてきっと必要なことなんだろうなと、人生折り返しに近づいた私は思いはじめている。
そして、好きな〇〇、うまく答えられない問題は続く……。
(学生時代にしょっちゅう聞かれた好きなお笑い芸人、好きなアーティスト、未だにうまく答えられない)
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