何かを渇望することが、思えば減っていた。
10代の頃は違った。なんでも欲しかった。手に入れたかった。
飢えて乾いて、まるで餓鬼のようだった。でも、手に入れる方法が分からず、諦めていた。
時はすぎ日々の営みに慌ただしく、欲しいものといえば時間となった。
欲しくて欲しくてたまらないものなんてないと思っていた。つい先日までは。
手に入らないものほど、欲しい。
そんなものが現れたのである。
その瞬間から、切ない気持ちが溢れ、
欲に塗れた人間であることを思いださされた。
私の中に、まだ、こんな感情があったとはと反芻しているうちに、
欲しいという熱はあっという間に冷めた。
こうやって、感情の波に揺られながら生きていくんだろう。
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